第1期Deep Purpleを聴こう

一般的にはDeep Purpleといえば、「Smoke On The Water」「Black Night」「Burn」「Highway star」等、誰もが知っている名曲群を生み出した第2期以降が有名だと思います。

第2期メンバーは以下の通り。

ジョン・ロード (Jon Lord) - キーボード
リッチー・ブラックモア (Ritchie Blackmore) - ギター
イアン・ペイス (Ian Paice) - ドラム
ロジャー・グローヴァー (Roger Glover) - ベース
イアン・ギラン (Ian Gillan) - ボーカル

第3期ではベースがグレン・ヒューズ、ボーカルがデイヴィッド・カヴァーデールに変わります。前述の代表曲含め、著名な曲は大体この第2期、第3期の作品ですね。

第2期以降は基本的に音楽的主導権をギターのリッチーブラックモアが握り、名実共にハードロックを代表するバンドとしてブイブイいわせるわけです。

 

では、第一期はどうだったかというと、メンバーは以下の通り。

ジョン・ロード (Jon Lord) - キーボード
リッチー・ブラックモア (Ritchie Blackmore) - ギター
イアン・ペイス (Ian Paice) - ドラム
ニック・シンパー (Nick Simper) - ベース
ロッド・エヴァンス (Rod Evans) - ボーカル

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↑は1stアルバムのジャケット

この頃は音楽的な舵取りはバンドのリーダーでもあるジョンロードが担っていて、当人のクラシック嗜好がかなり反映されたアートロック的な音楽性になっています。

以下、何曲かおすすめをあげたいと思います。

Hush(1st「Shades of Deep Purple('68)」収録)

https://youtu.be/W1PNvopXjbg?si=Qvl7xNdABHrkpVwb

この曲はベストにも収録されたり結構有名ですね。1stは全9曲中4曲がカバーなんですが、この曲も米のSSWジョーサウスのカバーです。割と原曲に忠実なカバーだと思いますが、合間合間の演奏は流石の格好良さです。

 

Wring That Neck(2nd「The Book of Taliesyn('68)」収録)

https://youtu.be/7kHFj8eWF4E?si=CQBO_-oUMCaVQqL4

この曲は第1期パープルでも特に好きな曲なんですが、とにかくジョンロードのオルガンが格好良いということに尽きると思います。出だしのリフなんかは1968年という時代を考えるとかなり尖ってませんか?

 

Chasing Shadow(3rd「Deep Purple('69)」収録)

https://youtu.be/ao-bn5xcthg?si=CJVEPc12-qyXVyJ6

全辺に渡って鳴っているドコドコしたドラムが印象的な曲。この曲はロッドエヴァンスの歌唱がいいですね。このロッドエヴァンスという人は後任のイアンギランやデイヴィッドカヴァーデールに比べると、歌唱力という点では劣るかもしれませんが非常に良い声質をしていて、この時期のアートロックのパープルには相性抜群だったんだと思います。

脱退後もCaptain Beyond(プログレ方面で有名)を結成したりと活躍していたんですが、1980年に偽Deep Purple事件を起こし、そのゴタゴタで実質音楽界を追われています。(詳細はWikipedia等をご覧下さい)

まあそんな感じでDeep Purpleがロックの殿堂入りを果たした時も授賞式に出れないなど散々なその後ですが、ボーカリストとしては中々稀有な存在ではあったと思いますね。

第一期として3枚のスタジオ作を残した後、アートロック路線に行き詰まりを感じていたリッチーが次は俺に仕切らせてくれということでハードロック路線の「In Rock」を作った結果、これが当たり、以後Deep Purpleはハードロックのバンドへと変革していくことになります。

 

長々書きましたが、逆張りで第2期以降がダメだと言うつもりは全くなく、言わずもがなこちらはこちらで素晴らしい作品群を残していると思うんですね。その時期中心のベスト盤なんかは学生時代聴き倒しましたし。

ただそれに比べると第1期は作品の質は良いのに影が薄いのがとても勿体無いと思っていて、特にプログレとか好きな人は刺さるものがあると思うので是非聴いてみてほしいと思います。

ちなみにバンドの舵取りをリッチーに譲った後、ジョンロードはそれまでのクラシック嗜好を自らのソロ作で出していくことになりますが、こちらはあまりにクラシック寄りすぎて正直なところあまりピンときませんでした。

やはりバンドならでは、あのメンバーだからこその輝きだったのでしょうか。

 

ちなみに残る第一期メンバーのベーシスト、ニック•シンパーですが、この人も脱退後Warhorse(やはりプログレ方面でそれなりに有名)を結成したりしています。

 

興味を持たれた方、第一期パープルはサブスクにも全部ありますので、いかがでしょうか。

JAMIROQUAI / Emergency On Planet Earth(’93)

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90年代に一世を風靡したジャミロクワイの1stアルバム。

アシッドジャズのムーブメントから世に出てきたジャミロクワイだが、いわゆるアシッドジャズと言われてしっくりくる音楽性なのは2ndくらいまでで、

過渡期的な3rd(「Virtual Insanity」収録)を挟み、以降はクラブ的な音作りになっていく。(6th以降また少し変わるけど)

3rdや4thは日本でも滅茶苦茶売れたようで、4thの「Synkronized」なんかは体感だけど全国のブックオフの特価コーナーに3枚ずつくらいあるんじゃないか?

そんなこんなで一時期あまりに売れすぎたことと、とにかく「Virtual Insanity」が有名すぎるせいで、今ではファン以外からは「あの人はいま」的な扱いになっているようにも感じるのが歯痒いところ。

 

で、この1stに話を戻すと、前述したようにこの頃は結構生音主体というかバンド感が強くて、黒人音楽由来のファンクネスと白人のポップ感覚が高次元で融合された、非常にクールな音楽になっている。

なんていうか、この1stとか2ndの頃はバランス感覚がいいんですよね。黒人音楽と白人音楽の取り合わせとか、バンドサウンドと電子音とかね。OP曲の「When You Gonna Learn?」のイントロとかカッコ良すぎるだろ。

作中には他にも「2.Too Young Too Die」「6.Emergency On Planet Earth」「8.Blow Your Mind」等強力なシングルを含んでいるが、それ以外の曲も素晴らしく、特にお気に入りは「4.If I Like It, I Do It」。爽やかな導入からしばらくは心地良いメロディが続くが、後半から壊れ出していく。他には10分を越える大作の「9.Revolution 1993」もいい。

1曲が割と長めで前述したように10分越えのものもあったり、ディジュリドゥというアボリジニの民族楽器(長い木製の笛のようなもの)の専任奏者がいたりと結構挑戦的な作品でもあるのが面白い。

ディジュリドゥなんてこれ以外ではMtG(カードゲーム)でしか聞いたことないぞ。全然関係ないけど。

最近ではお腹が出て中年体型になってしまったジェイ•ケイもデビュー当時はスタイルが良く、奇抜なファッションも相まってステージ映えは抜群だし、音楽の方はこのクオリティだし「そりゃ売れるよな」という感じ。

アシッドジャズと呼ばれるアーティストはこの頃他にも登場しているが他のグループはもっとジャズ寄りのイメージがあって、意外にジャミロクワイっぽい音楽性のアーティストっていないんですよね。特にこの1stや2ndの頃は割と唯一無二なスタイルだと思うので、聴いたことがない人はぜひお試しあれ。

とはいえジャミロクワイに関しては3rd以降も全然好きなので、そのうち他のアルバムについても書いていきたい。

 

↓はOP曲の「When You Gonna Learn?」の当時のライブ映像。

この映像ではそんなに踊らないけどフロントマンのジェイ•ケイは抜群にダンスが上手く、手の動きとかステージングひとつひとつがカッコいい。オープニングや感想でボエ〜ボエ〜してるのがディジュリドゥです。

https://youtu.be/tc0SG6hRr9o?si=IGJFRJ00eEd7FFdM

PopGroup / Citizen Zombie(’15)

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ストパンクの伝説的バンドであるポップグループ。1979年と1980年に2枚のアルバムを残して解散したが、長い年月を経て2010年に再結成。2011年にはサマーソニックにも出たらしいが、この時が初来日とのこと。

2015年にリリースされたこのアルバムは実に35年ぶりとなる3rdということになる。

20歳そこそこ、下手すりゃ10代のメンバー達によって作られた過去2作に比べれば流石に丸くなったかなとは感じるし、Voのマークスチュアートの声も歳とったなというところはあるものの、リフのセンスは全く衰えていないし自信の現れか変に装飾過剰になっておらず、とても聴きやすい(※ポップグループとしてはだが)アルバムに仕上がっている。

なんにせよ35年ぶりのアルバムがこの仕上がりというのは流石というほかない。

インパクトの面では過去2作に譲るけれどもこれが一番好きという人がいてもおかしくないんじゃないかな。私も聴く頻度でいえばこれが一番です。

ポップグループはこの翌年にも1枚アルバムを残しているので、こっちもそのうちレビューしたい。

おすすめは②④⑥⑩あたり。

↓は②Mad Truth

https://youtu.be/ReSbezi9kW4?si=bz7j52Sxeqz4no48

Prefab Sprout / Swoon(’84)

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プリファブ•スプラウトの記念すべきデビューアルバム。

次作以降に比べ全体的に地味な感じは否めないものの、フロントマンパディ•マクアルーンの映画音楽を彷彿とさせるソングライティングは既に高いレベルにある。

特に冒頭のDon't Singは個人的にこのバンドのベストソングだと思っていて、ネオアコとも違う青臭い音像、ちょっとやけっぱちなボーカル、盛り上がりそうで盛り上がらないメロディなど、ハマると抜け出せない魅力を持っている。

 

 

Talking Heads / Remain In Light(’80)

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トーキングヘッズの代表作。さらに言えば80'sロックの中でも指折りの名盤と言えるでしょう。

ロック×アフロビートということで、アフロビートといえばゴッドファーザーであるフェラ•クティをはじめ、おおらかというか大雑把というか、細けぇことはいいんだよ的グルーヴ重視のイメージがあるけれども、トーキングヘッズはどこまでも理詰めで作っているような感じ。アッパーでダンサブルなのになぜかノリきれないのはその辺にあるのか。

代表曲「Once In A Lifetime」収録。もちろん大好きだがアルバムのトーンからすると浮いているような気がしないでもない。

いまもって色褪せない大名盤だけども、個人的な好みでいえばアルバム後半、特に6-8曲目が音像がはっきりせず、強烈な前半に対してちょっと弱いかな。

DeluxeEditionでアルバムのアウトテイクが聴けるけどこの辺と1曲くらい入れ替えたらまた違った印象になるかもしれない。

 

この一曲:Born Under Punches

最高のアルバムオープナー。開始1秒の咆哮で一気に引き込まれる。

https://youtu.be/w6T_X7MXg40?si=7EfMpZmTxXAjk27C